ハリネズミに限らず、ペットには「動物の愛護及び管理に関する法律 」*が適用されます。
*以下動物愛護管理法
ペットを遺棄(捨てる)したり、繁殖や譲渡をする方が少なくありませんので、これらの行為の違法性についてご説明します。
法律家ではありませんので、あくまで法律から読み取れる内容として記します。
つまり僕が書くことが正解ではありません。
参考程度に捉えていただき、専門的なことは保健所や弁護士等にご相談ください。
つまり僕が書くことが正解ではありません。
参考程度に捉えていただき、専門的なことは保健所や弁護士等にご相談ください。
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この記事の目次
前提条件![動物取扱業(プロ)]or[個人(素人)]
このお話を始める前に前提条件を確認しておきましょう。
動物取扱業か個人かの違いです。
今回の内容は個人、つまり許可を得ていないものが動物を繁殖したり譲渡することについて説明します。
以下は動物取扱業の説明になりますので、興味のない方は次項まで読み飛ばしてください。
「動物取扱業者」は「第一種動物取扱業者」と「第二種動物取扱業」に分別されました。
第一種動物取扱業者
業、つまり商売として動物を取扱う場合は第一種動物取扱業者として保健所からの許可を受けなければいけません。
業の種類は次の通りです。*()は一例です。
- 保管(ペットホテル)
- 販売(ペットショップ)
- 貸出(移動動物園やペットモデル)
- 訓練(しつけ教室)
- 展示(ハリネズミカフェ)
- 競りあっせん(動物のオークション主催)
- 譲受飼養業(ペットを有償で譲り受けて世話)
非営利、つまりボランティアの活動であっても、飼養施設を有し、一定頭数以上の動物の取扱い(譲渡、保管、貸出、訓練、展示)をする場合も許可が必要です。
*動物愛護団体のシェルター、公園等での非営利の展示などが対象です。
ペットを捨てる(遺棄)のは当然違法!!
もはや言うまでもなく、捨てるのは違法です。
ただし違法となるのは次の「愛護動物」のみです。
- 牛
- 馬
- 豚
- めん羊
- ヤギ
- 犬
- ネコ
- イエウサギ
- 鶏
- イエバト
- アヒル
- 人が占有(所有)している哺乳類、鳥類及び爬虫類
動愛護管理法 第六章 罰則の第四十四条 第三項
愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。
なお余談ですが、鳥獣保護法の対象となる野生化したノイヌ、ノネコ、ノヤギなどは愛護動物には含まれません。
つまりイノシシやクマ同様に狩猟することができます。
*複雑難解な説明が必要となるため、詳細説明は見送ります。
また、両生類、魚類、昆虫類、甲殻類 クモ類 多足類、軟体動物も愛護動物には含まれませんが生態系に影響を及ぼす可能性は十分あるため許容している訳ではありません。
捨てるならできる限り苦痛を伴わない方法で殺してください。それが責任です。
繁殖させるのは違法なのか?
さて、一番難しい繁殖についてみていきましょう。
「個人」の繁殖について
「個人」の繁殖に関しては原則禁止と考えることが僕は適当だと思います。しかし、違う捉え方もできるため違法とも適法とも言い難いグレーゾーンです。
動愛護管理法 第三章 第一節 総則 第七条 第五項
(動物の所有者又は占有者の責務等)
動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
要約すると「ペットの飼い主さんは飼いきれないような繁殖はしないようにしてください」ということ。
ここで注目すべきは(動物の所有者又は占有者の責務等)の責務という言葉。
責務という言葉のせいでうやむやになってしまいます。
責務とは、法律上「義務」のような違反が具体的で賠償責任が発生するような意味を持たず、「目標」に近い性質を持って使用されます。*
*個人的見解です。
つまり「法律を守ることを目標にしましょう!」という書き方で、そこに罰則や強制力がある訳ではありません。
動物愛護管理法の罰則にも特に明記されていません。
しかし悪質な場合は保健所等の行政指導の対象となる可能性は十分あります。
動物取扱業者の繁殖について
さて、冒頭に「動物取扱業か個人か」という話をしました。ここでそのお話を少ししておきましょう。
動物取扱業者はプロなので法律を犯した場合は厳しく罰せられます。
飼育施設や動物の体調、繁殖、取引の状況を記録台帳に記入して「管理」しなければなりません。
もちろん岐阜市保健所から展示の許可を受けている僕も「毎日」記入しています。
*犬と猫に関しては特に厳しく定められています。
繁殖についても管理が行き届いていないと判断されれば罰金や懲役があります。
個人と動物取扱業では適用される法律の幅も違うということです。
繁殖に関する法律の紹介
次に紹介する条文は犬、猫を対象としたものですが個人にも適用されます。
第四章 第三十七条 (都道府県等の措置等)
1 犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。
2 都道府県等は、第三十五条第一項本文の規定による犬又は猫の引取り等に際して、前項に規定する措置が適切になされるよう、必要な指導及び助言を行うように努めなければならない。
要約すると、
その1 犬と猫の飼い主さんは飼えないくらい繁殖しちゃうと思ったら、去勢・避妊手術受けさせるように頑張って!
その2 市区町村は、飼い主から犬と猫の引き取りをお願いされたら引き取ってね。
でも、動物取扱業者から引き取ってねとお願いされたら、基本死ぬまで飼わなきゃいけないんだから、絶対に飼えないと判断できないときは市区町村も拒否していいよ。
あと、市区町村は「その1」を守るように飼い主さんに指導やアドバイスするように頑張って!
法律って難しく書きすぎ。
まあそれは置いといて、いずれも努めなければならない(頑張って~)としてか書いていないので、強制力はありません。
それでも、悪質な場合は行政指導の可能性はあります。くれぐれも勘違いしないように。
市区町村は必要な指導及び助言を行うように努めなければならない=頑張る、と。
ぜひ頑張ってほしいものです(´・ω・`)
しかし、市区町村が頑張っていない場合は誰に言えば頑張ってくれるの??
この市区町村の強制力のなさが一番問題な気がします。
強制力を持たせようとすれば人員不足等にも対処しなければならず、そのために税金が投入されることになります。
一朝一夕にどうにかなる話ではありません。
譲渡について
「1年に1匹までなら譲渡してもよい」という話を耳にし、岐阜市保健所へ問い合わせました。
岐阜市保健所からは「岐阜県に限らず全国的に、1年のうち反復して(何度も)譲渡する場合は有償・無償を問わず動物取扱業の許可が必要。年1回までなら反復に当たらないため可能。」と回答を受けました。
一番衝撃だったのは有償・無償を問わず年1回まで、ということ。
仮にお金をもらわなくても年に1回を超えて譲渡するなら許可が必要となります。
そしてお金をもらう有償譲渡の場合は例え1回であっても許可が必要となります。
理由は業、つまり商売として譲渡することになる為。これ以上でも以下でもありません。
しかし、この「年に1回」という表現もくせものです。
- 1匹まで?
- 1人に対して複数匹?
- 1回の繁殖で生まれたペットすべて?
こういう法律や条例はある程度幅を持たせるのが常ですので、おそらく明確な回答は存在しないでしょう。
*事実として岐阜市保健所からも「1回」について明確な定義はないと回答を受けました。
ですので、考え方としては1回の繁殖で生まれたペット全てを譲渡することを1回と考えても差し支えないと「僕は」考えます。
そして前項で説明した通り、1年に2回以上何度も(反復)飼いきれないほど繁殖させてしまう場合は、去勢避妊手術を受けたり、繁殖しないよう努めなければ保健所からの指導対象となり得ます。
まとめ
自分なりの視点と知見でお話させていただきました。
冒頭に申し上げた通り、僕は法律家ではありません。
詳細な問い合わせにはお答えいたしかねます。
お住いの自治体の保健所や弁護士さんにお問い合わせください。
とはいえ、第一種動物取扱業を持っているプロです(登録番号:岐阜市第120291号)
責任をもって管轄の保健所に確認し、記事を執筆しました。
法律を詳しくご覧になりたい方はこちらからご覧ください。
動物の愛護及び管理に関する法律→e-Gov[イーガブ]